2012年1月31日火曜日

恐怖の伐採作業(後編)

2012.01.31(火)
母屋横・薪小屋測候所寒暖計 -7.0℃(午前6:00分現在)



おはようございます。

けさもぞんぶんに冷え込んでいるなんもく村。大地は冬枯れに乾ききって、谷筋をえぐるように蛇行する南牧川も枯れ枯れ。その水量は細るばかりです。

静まり返った朝の気配の中、夏場ならしっかりと聞こえてきていた川音も、よーく耳を澄ませばようやく微かな音が聞き取れるほどの弱りようです。今は辛抱辛抱、ただひたすらじっと我慢の季節なのです。

襟元を搔き集めるようにして深く顎をうずめて、農道二号線まで降りてみた私。
眼下の南牧川覆う氷の厚みを確かめるべく、農道二号線上から投石を試みてみましたが、川の中央付近に着弾した礫は乾いた音を立てながら弾き飛ばされ向こう岸まで跳ね返され、再び投じた第2弾も白く着弾痕を残して跳ね返されてしまいました。

だいぶ厚みができてきている様子です。もう2~3日こんな感じで冷え込みが続けば渡れるようになるかもしれませんね。


それでは、昨日の「恐怖の伐採作業」後編を書き込んでみたいと思います。




愛用のチェーンソーで受け口を作り、方向を見定めて追い口を切り始める私。(図1参照)


図1

図2

ある程度追い口が深くなってきたところでワイヤーブロックのレバーを何度か引いて更にテンションをかけて山側に強引に引っ張りをかけ再び追い口を切り進めてゆくと・・・・『ビシッ!ビシビシッ!』と幹から悲鳴のような音。

本来ならおばちゃんの家の方角に倒れるはずの重心を無理やりジャッキをかけて引っ張られ、重力に逆らうように僅かに山側に倒れ始めたタイミングでチェーンソーを抜き取って急いでワイヤーブロックのレバーを何度も往復させると、さらに鈍い音を響かせながらだんだんと山側にゆらりゆらりと倒れてくる雑木。ちょっと恐ろしいほどです。

これ以上は危険と思われるタイミングでその場を離れた私。

同時に鈍く大きな音を立てながら横倒しに倒れて行った支幹。いやはや、なんとか第一関門は突破できたようです。



倒れた幹伝いに枝を払い、運べる長さにカットして引き続きメインのぶっとい支幹を倒すべく準備に入る私。

こんどは先ほど倒した支幹よりさらに大物。
完全におばちゃんの家に覆いかぶさり、その重心はほぼ全ての重量をおばちゃんの家の屋根めがけて傾けています。非常にキケンなのです。

太い幹をよじ登り、先ほどよりさらに高い位置にロープを結びつけ一本目と同様に倒したい山側に育つ他木に滑車を取り付けロープを通して戻ってきて、他の幹にワイヤーブロックのウインチを繋いでまずは一杯にウインチレバーを動かしてロープをビンビンに張って準備OK。(図2参照)

倒したい山側に大きく受け口を切り、再びウインチのレバーを目一杯引き込んで山側に引っ張り、追い口を慎重に切って行く私。

幹の1/3ほどチェーンソーが入っていったあたりで異変!
急にチェーンソーが重く感じるようになったかと思うと、あっという間に動かなくなり、慌てて引き抜こうとしたときにはすでに手遅れ。

滑車とウインチを使ってあれほど山側に引っ張っておいたにも関わらずぶっとい幹は、おばちゃんの家に倒れようとする重力と生木の自重のダブル効果で追い口をかけたチェーンソーの道を塞ぎとんでもない重量で押し潰しに掛かってきたのです。

もはや私の力など相手になりません。
ピクリとも動かなくなってしまったチェーンソー。どうにもならないのです。


途方にくれる私。
とにかくこれ以上ロープに引っ張りのテンションをかけることは避けたかったのですが、もうどうにもならないと判断。

ロープの耐荷重は限界と思われる中、ウインチをさらに巻き上げるしかありません。これだけ追い口もかけてありますのでロープが断裂すればその幹はビシビシと音を立てながら間違いなくおばちゃん家の屋根に直撃です。

さらに残り少なくなっていたツルの部分が耐え切れずにこと切れてしまえば、タガが外れたぶっとい幹がどっちに撥ねるかまったく予想が付かない状況。ウインチのレバーを握る私のほうに向かってきたらただでは済まない恐怖感。

ゆっくりと、さらにゆっくりとレバーを引き続けワイヤーを巻き上げて行く私。そのときでした、巻き上げるウインチのレバーが心なしか軽くなったような気がしたのです。

見上げると、幹の先端付近がゆっさゆっさと揺れているのを確認。さらに巻き上げてみると確かに山側に向かって幹の先端が移動し始めているのを確認です。

追い口がある程度深く入っていたのが幸いしたようで、ツルの部分を支点にゆっくりと重心を移動し始めたのです。こうなればロープのテンションもそれほど気にする必要もなくなり、いったんレバーを離した私はチェーンソーを抜き取りに掛かります。がまだまだチェーンソーが抜けるほどは重心が動ききっていなかったと見え、人間の力ではとても引っ張り出すことができません。

腰にぶら提げたキビ団子を・・・間違えました!腰にぶら提げた手鋸を掴んで追い口を慎重に切り進んで行くと、突然ビシッ!という幹が避ける音、ほんとうにギリギリのバランスでツルと繋がっている状態。

恐怖を押さえつけてさらに手鋸で追い口を切り進み、直感的にこれ以上ここにいたらキケンというタイミングでその場を離れた私は、ウインチのレバーを思い切り前後に巻き上げぶっとい幹が山側に重心を移したのを確認して飛び跳ねるようにその場を離れたのでした。


まるでスローモーションのようにゆっくりと倒れ込むぶっとい幹。
ビシビシビシッ!という悲鳴のような避ける音。
ドッドーン!と地面に倒れ込む地響きのような音。

恐怖と緊張に高鳴っていた心臓が、やがて落ち着きを取戻した頃、なんともいえない安堵感に包まれ、隣のおばちゃん家を破壊することなくこの厄介な2本の幹を無事に伐採することができたことにただただホッとする私かたじ屋でありました。

残る2本の支幹は山側に重心がありますので特に問題なくその後伐採。
翌日曜日も伐採の片付け作業が続き、今は何事もなかったかのように真新しい切り株がポツンと残っている裏山なのです。

いやー、それにしても久しぶりに恐怖感を味わいました。
生きている木を切るんですから、このくらいの思いは当然かもしれませんね。おしまい。


3 コメント:

  1. 風呂川1/2/12 08:29

    かたじ屋殿

    いっやー!!
    ディスプレイに顔が食いつてしまいました。
    迫力ありますね。
    描写表現がお上手。朝のぼーっとした脳ミソが覚めてしまいました。木を切るということは真剣勝負もあるんですね。
    素人が単に傍から見ていては、とうてい分からぬ勝負の世界をみさせてもらいました。
    ご無事でなにより。大変ご苦労様でした。
    解説図があり飲み込むに助かりましたよぉ~。

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    1. 風呂川どの

      山仕事というのは本当にハードな仕事ですねぇ。
      たった一本の木を伐るだけでへばりました。恥ずかしながら。

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  2. 風呂川1/2/12 21:09

    かたじ屋殿


    かたじ殿の一言の重さに、ただただ頷くばかりです。
    開拓の方々・・・命を張ることが多々あったのでしょうね

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